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野川 徹 | ![]() |
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| 2001年9月11日(火曜日) アラスカ | |||
| フェアバンクスの次の宿である、テイスト・オブ・アラスカ・ロッジに来ていす。ここはフェアバンクスの郊外で、周りには自然以外なにもありません。目の前には北海道のような広大な大地が広がり、手前はすでに紅葉の始まった森、遠くには雪を冠った山々、そして小さく北米最高峰のマッキンリーが見えます。植村直巳が眠っている山です。 この宿にはテレビがあるので、初めてNYの惨状を目で見ました(これまで宿泊していたクラウドベリーB&Bはラジオだけでした)。CNNではこれ以外のニュースは流れていません。日本に流れた最初のニュースには噂がかなり含まれていたようで、インターネットで読んだ内容と、最初にラジオで聞いた内容、そして次にテレビで見た内容はかなり違っていました。相当混乱していることがわかります。人々の話題は、当然ながらこのこと一色です。 ペンタゴンの発表でも、昨日までは死者は数百人規模と出ていたのが、今日は数千人規模、そして先ほどは、ワールドトレードセンターのひとつのタワーだけで数千人規模と予測していました。そちらでもそろそろ同じタイミングでニュースが流れるようになったと思います。 イスラム圏を旅している仲間からメールがありましたが、あちらでも一部の飛行機が飛ばなくなっているようです。ニュースはアフガニスタンのタリバンの関与は間違いないという見方で報道されています。 こちらにいて悲しいのは、これがパールハーバー以来の奇襲攻撃と報道されることです。米国民の80%以上は、これは戦争であると捉えているという調査結果が流されていました。米国民にとっては、パールハーバーは、今回のテロと同じ程度の卑劣なイメージを持っているということなのですね。日本でもこうした報道はされているのでしょうか? 昨晩は非常にきれいなオーロラが見られました。ここにいると、まるでNYの事件が作られた映画のようにしか感じられないのは、幸せなことなのか、それとも不幸なことなのか。 それではまたメールします。 |
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| 2001年9月12日(水曜日) アラスカ | |||
| ニュースで見るアメリカは大変な状況ですし、実際今日フェアバンクス空港にレンタカーを返しに行ったら、空港は警察が閉鎖していて、空いているのはレンタカー屋だけという状態でした。空港ビルに近い駐車場は、全て車をレッカー移動して、一切近くに車を停めさせないようにしていたのは、おそらく爆弾テロを防ぐためなのでしょう。 今日も飛行機は飛んでいませんし、明日も飛ぶのは難しいという感じです。街中には、非常に場違いな格好をした日本人があふれていましたので(そんなに多くの日本人がいるのはここでは変です)、たぶんどこか別のところへ向かっていて緊急着陸した飛行機に乗っていた人たちなのでしょう。下着や服を買っていましたが、これからいったいどうするのかと考えると、気の毒になります。誰も保証はしてくれませんし、大変ですね。 しかしそういったことを除けばフェアバンクスはアラスカで二番目に大きな都市であるにもかかわらず、実に平穏なものです。市内はまったくいつも通り平穏無事に動いています。唯一地元で危機感を持って語られるのが、アラスカパイプラインの爆破に対する警戒です。ここを爆破されるとアメリカの生命線が危機的な状況に陥るので、地元ラジオでは警備が厳しくなっている様子を伝えています。 ここにいると、アメリカであって、アメリカではない、まるで別世界です。20日にシアトル経由で日本に戻るときにアメリカを実感することになるでしょう。もっとも予定どおり戻れるかどうかも、現時点では定かではありませんが。 日本のことはこちらではこちらでは全くニュースに出てきません。ヨーロッパ各国の首脳が話しているのはよく出てくるのですが、NATOの一員でもない日本は、軍事的には蚊帳の外なのですね。それにしても日本もなんらかの支援を含めた対応をしているとは思うのですが、それが全くニュースとして流れないというのは、アメリカの日本に対する価値観を良くあらわしていると思います。アメリカにとっての日本は所詮そんなものなんだなと、こういうときに感じます。我々がアメリカを思っているほど、アメリカは日本を思っているわけではないのです。 今日の昼、ロッジのオーナーに通訳をたのまれて、ここを旅している日本人のおばちゃんたちと話しましたが(オーロラや野生動物の写真を撮るのがブームらしくすごい機材を持って旅している)、国際感覚の無さからか、こんなときでも「パイプラインを見にいかなきゃ」などと話しています。何もこの時期にそんなリスクの高いことをと思いますが、彼女達にはそれがリスクの高いことであるとは全くわかっていません。平和ボケもいいところですね。戦後からこれまで、日本は本当に平和な国であったことを実感します。その平和が非常にもろいものであることを、今回のことで少しでも多くの日本人が実感してくれると良いのですが。 明日はデナリ国立公園に向けて、朝早く列車で移動します。さきほど逆方向から来た人と話していたら、デナリはすでに紅葉が終わり、冬が始まりかけているそうです。昨日はバスに乗って回るワイルドライフツアーで、グリズリーやムースを見たと言っていました。フェアバンクスの方が北にあるのですが、デナリは高所にあるために、冬の訪れが早いようです。こちらは今まさに紅葉のまっさかりというところでしょう。まだ遅い日暮れ(9時頃に日没です)で、低い太陽光線が、素晴らしいシルエットを見せてくれます。しかし非常に短いアラスカの秋はすぐに終わりを告げ、9月末までにはフェアバンクスでも初雪が降り始めます。そうなると長い長い冬が始まるそうです。 今夜も晴れていますので、そろそろオーロラが出てくるころです。もうじき午後10時30分になりますので、オーロラ観測の準備をします。それでは次の便りはデナリから。 |
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